2011年03月17日

放射線−超基本編

日々、原発トラブルのニュースを目にします。
決して楽観できる状況では無く、関係者の方々は
難しい判断と必死の対応をされていると思います。
また"放射線"に関するニュースや憶測も飛び交い、
心配されている方も多いと思います。

放射線の難しいところは、その知識が決して
一般的では無く、また放射線自体も
・直接五感で感じられない
・深刻な状況を除くと被害が分かりづらい
といったところにあると思います。

学生時代に少し勉強した内容は殆ど覚えて
いませんが(苦笑)、放射線取扱主任者という
資格を持っており、放射線についてはある程度
知識があると(自分では)思っています。
大したこと無いですが・・・(^^;;

ここで、放射線の極めて基本的・限定的な
知識を単純化し書いてみたいと思います。
ご存じの方は読み飛ばして下さい。
ニュースの理解の一助に、また不要な誤解を
解く助けに少しでも役立てばと思います。

■放射能・放射線とは
少なくとも以下の用語は混同せず理解すると
誤解も少なくなると思います。
・放射能:放射線を出す能力・性質のこと
・放射線:原子核が壊れるときなどに
  放出される高速の粒子や高いエネルギーを
  もった電磁波のこと
・放射性物質:放射能を持っている物質のこと

ご覧の通り、"もの"の名前としては"放射線"と
"放射性物質"の2つがあります。
「風に乗って拡散する」とか「マスクで防ぐ」
などと言われているのは"放射性物質"の方で、
"放射線"は(一言で言うと)比べようもなく
高速のものです。
被害を与えるのは基本的に"放射線"ですが
"放射性物質"を体内に取り込んでしまうと
内部から被曝してしまい、その被害が重篤
である為に、"放射性物質"の拡散に対して
いろいろと騒がれています。

■放射線の種類
放射線という"もの"があるのではなく、
放射線は幾つかのものの総称です。
・高速粒子線:
  α(アルファ)線、β(ベータ)線、中性子線
・電磁波:
  γ(ガンマ)線、X(エックス)線
X線はなじみ深い名前ですね。
線種により遮蔽の程度は大きく異なります。

■放射線の単位
放射線の単位はいろいろあり、TVなどで
最近良く見るSv(シーベルト)もその1つです。
ちなみに表すものに応じて
 Bq(ベクレル) [旧単位 Ci(キュリー)] 放射能
 Gy(グレイ)  [旧単位 rad(ラド)] 吸収線量
 Sv(シーベルト) [旧単位 rem(レム) ] 線量当量
といった単位が使われます。
ほとんどの単位が人の名前に由来しています。 

これと比べるとなじみがあるのがミリ(m)や
マイクロ(μ)といった単位ですね。
キロ(kgやkmで使いますね)と同じく
SI(エスアイ)接頭語と言われるもので、
大きな数字や小さな数字を簡単に言う為に
付けられるものです。
ミリは1/1000、マイクロはさらにその
1/1000という意味です。
1mm(ミリメートル)は1m(メートル)の1/1000ですね。

1sv=千mSv=百万μSv
1mSv=千μSv
ですね。

書くまでもないかも知れませんが、
距離(例えばkm)と速度(例えばkm/時)と
同様にSvとSv/時は別です。
Svは量で、Sv/時は1時間当たりの量です。

■放射線の影響
放射線の影響は細胞(DNA)損傷で、大きく
以下の2つに分けられます。
・不完全修復("確立的"影響)
  遺伝子障害、がん、白血病
・細胞死("確定的"影響)
  不妊、血球数減少、脱毛、白内障 

また量と影響の関係としては以下のように
言われています。
全身被曝
 500mSv  末梢血管のリンパ球減少
 1Sv   悪心、嘔吐
 3〜5Sv  50%の人が死亡
 7〜10Sv 100%の人が死亡
局所被曝
 500mSv〜 水晶体混濁
 3Sv   脱毛
 5Sv   紅班、白内障
 10Sv   急性腫瘍

その昔のJCO東海事業所臨界事故の
被爆量は最大で17Svとも言われています。

■日常生活での放射線被曝量
おおよそ以下の程度と言われています。
・自然から    年間で約1.1mSv
  宇宙からの宇宙線(0.3mSv)
  食物摂取(0.4mSv)
  大地から(0.4mSv)
・人工放射線から 年間で約2.3mSv
  レントゲン等(2.3mSv)
  原子力施設(0.001mSv)
  放射線降下物(0.01mSv)

なお一般の人の限度は(上記とは別に)
1mSv/年となっています。

今回のトラブルに関して報道されている量
(線量当量と言いますが)は、その場所と
被曝の程度・時間によりますが、浴び続けると
無視できない数値も報道されていることが
分かります。

基本的な内容を単純化してと書いた割に
長くなってしまいましたが、どうでしょう。
ニュースの理解や誤解を解くのに
ほんの少しでも役に立てば幸いです。

なお手元資料を元に書いたので間違いは
無いとは思っていますが、もし何かあれば
ご指摘くださいませ。
posted by NAO at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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